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自筆証書遺言と公正証書遺言 

遺言書を残す場合、遺言書には大きく分けて、

自分で自筆で書く「自筆証書遺言」と、

公証役場で公証人に作成してもらう「公正証書遺言」

があります。

自筆証書遺言は手軽な反面、民法で形式面について定めがあるので、これを守らないと効力が認められない場合がある、等のデメリットがあります。

これに対して公正証書遺言は、公証人が作成する書面なので、後日形式面の不備により効力が否定されることはまず考えられません。

これに加えて、自筆証書遺言と公正証書遺言には大きな違いがあります。

それは、公正証書遺言の方が、後日遺言者の遺言能力を否定されて遺言が無効となる可能性が低いという点です。

すなわち、故人の遺言書が出てきたときに、相続人間で「この遺言書を作成したときは故人は認知症だったから『遺言能力』はなかった。この遺言書は無効だ」として、「遺言無効」の主張がなされることが時々あります。

自筆証書遺言だと、どのような状況で書かれたか分からないため、例えば「故人は遺言書作成当時認知症で遺言の内容を理解していなかったにも関わらず、相続人の一人に言われるがままに書かされたのではないか」などと指摘されることがあります。

これに対し、公正証書遺言の場合には、原則として遺言を残す人(遺言者)が公証役場に出向き、証人立ち合いの下、公証人が遺言者に遺言書の内容を理解してるか確認しながら作成しますので、後日「遺言能力がなかった」「認知症で遺言書の内容を理解していなかった」などとの主張が認められることはそうそうあることではありません。

このような点からも、遺言書を残す際には公正証書による遺言書の作成をした方がよいと言えます。

なお、公正証書遺言でも、遺言書作成当時の病院のカルテ等から、認知症等の影響で遺言書の意味を理解して遺言書を作成するだけの遺言能力はなく無効とされるケースも中にはあります。
すなわち、本来遺言能力がなくて無効なものが、公正証書遺言を作れば有効になるというものではありません。
認知症等の問題があっても公正証書遺言を作ってしまえば大丈夫というわけではありませんのでご注意ください。

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