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養育費・婚姻費用の算定表(算定方式)について

養育費や婚姻費用、すなわち、子や配偶者に対する生活費の支払い義務の性質は、

「生活保持義務」という義務だとされています。

これは、義務者が、子や配偶者に、義務者と同程度の生活水準の生活を送れるように扶助しなくてはならないという義務です。

本来、この生活保持義務が実現される結果となるよう、養育費や婚姻費用は決められる必要があります。

養育費・婚姻費用を算出するには、本来、複雑な計算が必要です。

養育費・婚姻費用はだいたいどれくらいの金額となるのか知りたいという場合には、家庭裁判所において養育費・婚姻費用の額を算定する際に参考として使用されている、
「養育費・婚姻費用算定表」が参考となります。

この算定表は、支払義務者と権利者のそれぞれの年収が分かっていれば、迅速にだいたいの金額を知ることができて便利であることから、現在のところ、広く使用されています。

もっとも、この算定表(以下「現行算定表」といいます。)を使用する際には、以下の点に注意する必要があります。

1 現行算定表に基づく金額が絶対ではないこと。

2 子どもの障害、病気、学業など、特別に考慮すべき事情がある場合には、算定表に基づく金額に加算する必要があること。

3 現行算定表に対しては、以下のような批判もあること。

現行算定表は2003年に提言されたものであることから、その後の税制や保険料率の改正等が反映されていない。

現行算定表に基づく場合、義務者と子・配偶者の生活水準を同等にするという目的が達成されないような低額となる場合がある。

したがって、この算定表から算出される金額が全てなのではなく、それぞれのケースの事情に応じて、養育費や婚姻費用の金額を算出する必要があります。

現行算定表に対して上記のような批判があることから、日本弁護士連合会(日弁連)は、2016年に、現行算定表の問題点を改善するための新算定表を提言しています(以下、「日弁連新算定表」と言います)。
日弁連提言
日弁連の養育費・婚姻費用の新算定表

この日弁連新算定表に基づき算出される養育費・婚姻費用は、現行算定表よりも高くなります。

日弁連新算定表について、また、現行算定表の問題点について、今後実務でどのように扱われていくのかについては今後も注視が必要です。

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