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「事前認定」手続によるべきか、「被害者請求」手続によるべきか。

「事前認定」手続によるべきか、「被害者請求」手続によるべきか。

「損害保険料率算定機構による後遺障害認定の問題点」に損害保険料率算定機構における後遺障害認定の問題点を記載したが、そもそも、損害保険料算定機構における後遺障害認定を求める場合の手続は、「事前認定」によるべきなのか、「被害者請求」によるべきなのかという問題がある。

「事前認定」とは、加害者側の保険会社が窓口となって、損害保険料率算定機構に対して後遺障害認定を求める手続である。

一方、「被害者請求」は、被害者側が自ら、損害保険料率算定機構に対して後遺障害認定を求める手続である。

「判断するのは、損害保険料率算定機構であるから、加害者側が手続をする『事前認定』も、被害者側が手続をする『被害者請求』も、結論は変わらない」

というのが、従前からの「建前」であった。

しかし、加害者側保険会社が「事前認定」をする際、添付する資料は加害者側保険会社が揃えて添付するものであるから、資料の選別の時点で恣意的になる可能性が否定できないし、加害者側保険会社が「意見書」という形で、後遺障害認定に関する意見を添付することもある。

そのような場合に、損害保険料率算定機構における後遺障害の判断が加害者側保険会社の意向に全く左右されないとは言い切れない。

一方、被害者側が手続きを行う「被害者請求」においてはそのような懸念は生じないから、加害者側保険会社の影響を排除するには、「被害者請求」という形を取るべきであろう。

「被害者請求」の手続自体は手間がかかるものであり、弁護士に依頼せず被害者自身で行うことには非常に骨の折れることである。

「事前認定」手続であっても、妥当な結論となることはあるし、何より被害者側の手間がかからないというメリットもある。

そのため、どちらの手続を取るべきかは一概には言えないが、後遺障害の判断が分かれそうな事案などでは「被害者請求」を行うべきであろう。(当事務所では、安易に妥協せず妥当な後遺障害等級の獲得を目指す観点から、「被害者請求」を行うよう努めている。)

愛知市民法律事務所
弁護士 平井宏和

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