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【財産分与】夫婦の一方が婚姻前から所有し、婚姻中に住宅ローンを支払っていた不動産の評価計算方法

【財産分与】夫婦の一方が婚姻前から所有し婚姻中に住宅ローンを支払っていた不動産の評価計算方法について

愛知市民法律事務所 弁護士 榊 原 真 実

【事例】
例えば、夫が、妻との婚姻よりも前にマンションを購入し、住宅ローンの支払いを開始して当該マンションに居住していたところ、妻と婚姻し、妻も当該マンションで居住を開始した。夫婦の婚姻期間中、住宅ローンを引き続き支払っていた。その後住宅ローンの支払いが継続中に、別居し、離婚することになった場合、当該マンションは財産分与の対象となるか、また、その場合、マンションの評価額の計算方法はどのようになるか。

元々の当該マンションの取得価格は2900万円、夫が最初に借り入れた住宅ローンの額は3000万円、婚姻時の住宅ローンの元金残高は2000万円、その後婚姻中に住宅ローンの支払いを継続した結果、別居直前(財産分与基準時)の住宅ローン元金残高は500万円、当該マンションの時価は1000万円になっていたとする。

【解説】
この点については、夫婦の婚姻期間中、住宅ローンを支払っていたのですから、その部分については当該マンションは財産分与の対象となることになります。

夫が婚姻前から住宅ローンを支払っていた部分に関しては夫の特有財産と観念されることになります。

当該マンションの財産分与の対象となる部分の評価額の計算方法は以下のとおりです。

当該不動産の時価
×(婚姻時の住宅ローン元金残高-別居直前の住宅ローン元金残高、すなわち住宅ローン元金残高の差額)
/当該不動産の取得価格

本件についてあてはめると以下のようになります。

当該不動産の時価1000万円
×(婚姻時の住宅ローン元金残高2000万円-別居直前の住宅ローン元金残高500万円=1500万円)
/当該不動産の取得価格2900万円

=1000万円×(2000万円-500万円)/2900万円

=5,172,413円
こちらが、財産分与の対象として評価されることになります。

※本投稿は、名古屋家庭裁判所の運用における計算方法を参考に記述しています。

財産分与の計算は複雑です。
離婚・財産分与に関しご不明な場合は弁護士にご相談下さい。

愛知市民法律事務所  弁護士  榊 原 真 実

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